« May 2014 | Main | July 2014 »

2014.06.22

わたしが人類になった日

Img_5515

今をさかのぼること2ヶ月前、4月22日に「リアリティのダンス」のジャパンプレミアがありました。何とその日は私の属する活動宮(ちなみにかに座な)でグランドクロスが起こった日。
(しかも13度! タロットで言うと「死神」)
うむ、これは何が起こってもおかしくない。

浅井さんに、あえてこの日を選んだのか聞いてみたら、「今日何かあるの? オバマ?」って逆に聞かれました。そういえば、ちょうどオバマも来日してた。つまりはまったくの偶然だったのである。でも、よく考えてみたら、これこそが星の巡り会わせっていうものなのでしょう。

この日はプレミア上映のほかに、人間タロットを使った公開リーディングも行われることになっていた。先生は「これは配給会社のアイデアで、今まで一度もやったことがないから、うまく行くかどうかわからない」としきりと言ってた。
あと、現在の状況を見るものだから、未来のことを聞かれても分からないと最初に言ってた。

なのに聞く奴がおるのよね、これが。
あと、それタロットに聞かなくても、なんなら私でも答えられるぜって質問。
実はその時点で私はかなりイラッとしていた。
お前ら本当は悩みなんかなくて、ただホド先生と話したいだけだろ。
あの映画見たあとでも、まだそんな“おのれ”のことばっかり言ってんのか、と。

ちょっと話がずれますけど、今回に限らず映画祭や初日の舞台挨拶でのQ&Aで、ただ監督と話したという事実が欲しいがためだけに質問する人に私はいつも怒りを覚える。公けに質問するのだから、みんなが聞いて役に立つ質問をしろって思うんだよな~。

閑話休題。

ああ、日本で初めて心理魔術(サイコマジックという訳語があまり好きじゃないので、ここではこう表記します)が行われようとしているエポックメイキングな場に立ち会っていることに、ほとんどの人が気づいていないこのもどかしさ。
おそらく時間の関係だろう。そんなどうでもいい質問だけで司会の女性が締めようとしたとき、先生が「もうひとり」と無理やり質問者を選んだ。そりゃあ、そうだろう。うまく行くかどうか分からないと言ったものの、これで終われるわけがない。先生、その気持ち、分かります。

最後に登場しのたはおそらく日系3世か4世の男子。
彼は病院に行っても、マッサージに行っても首の痛みが取れないと訴えた。
急に先生の目が輝きだし、タロットで原因を探ったところ、どうやらペルーにいるお母さんに関係があるようだ。
ここで先生が「この中にスペイン語の話せる女性で歌が歌える人に手伝いを頼みたい」と言った。
いよいよ、これから心理魔術の処方が始まる!! と私は密かに興奮していた。だって、10年ぐらい日本に先生を呼んで心理魔術をやって欲しいと思い続けてきたのだ。ま、今回の来日に何の力も貸してないけど、長年の夢が勝手にかなう瞬間である。これが興奮せずにいられようか。

だけど、誰も手を挙げない。司会の人が「どなたかいらっしゃいませんか?」と繰り返している。舞台挨拶の笑い声で後方にネイティブの集団がいるのは分かってたから、きっと誰かがやってくれると思ってた。まずい… このままで先生に恥をかかせてしまう、と思ったときには手を挙げていた。

「歌えるか?」と聞かれて「多分」と答えた。頭の中の歌本を繰る。おそらく「シエリート・リンド」なら歌えるはず、あ、あとは「ベサメ・ムーチョ」も。

118_aj_ns1_5708_nishioka

舞台に上がると、彼のうなじに口をつけて子守唄を歌うように言われる。
え? 子守唄? 思ってた歌とちゃう…。
そこでなんとか少し前にやった仕事に出てきたスペイン語の子守唄を歌おうとした。
が、最初の1行分の歌詞しか出てこない。映画にもほんのさわりしか出てこなかったからだ。実は何年も前に同じ子守唄が別の映画に出てきて、そのときはもっとたくさん歌詞も訳した。私はそのときのことを思い出せないかと高速で頭の中の帳面をめくってみたが、見事なまでに1文字たりとも、きっかけになりそうな言葉すら思い出せない。

「この先の歌詞を覚えてません」
「いいから繰り返しなさい」

私はまた同じ歌詞を繰り返した。でもね、覚えてる歌詞がもうびっくりするぐらいすごく少ない。喩えて言うなら「ゾ~ウさん、ゾ~ウさん、お鼻が長いのね」をひたすら繰り返してるぐらいの感じ。

子供が同じことをしてたら、かわいらしいけど、こちとら中年やで。ウケる~。と客観的になったらおかしくなって笑ってしまったら「笑わないで」とたしなめられました。

そうだ、マヌケな自分の姿を気にしてる間はまだエゴに囚われているということ。人類の一部になるのだ。

彼は私が歌っている間、自分から母親を奪った妹に対する怒りを爆発させた。最後のほうはボーっとなってたせいで最終的な処方が何だったのかよく聞いてなかったけど、確かペルーにいるお母さんに会いに行けと言ってた気がする。あの後、彼の首の痛みが取れたのかどうかは知らない。知り合いじゃないからだ。

では、私に何が起こったのか。
実は件の子守唄が出てきた映画とは揉め事があった。アメリカ在住の日本人監督が初めて撮った作品で監督が自腹で字幕をつけたいとのことだった。

最初の打ち合わせから彼は「自腹だし、予算も少ないので…」とギャラを値切ってきた。というか私の口から安い値段を言わせようとしていた。お世話になってるクライアントさんからの紹介だから、ギャラがいくらであっても受けるつもりだったけど、わざわざ自分から値段を下げるのは話が別である。そもそも、私側に決まった料金があるわけでなく、案件ごとにギャラは違うし、スケジュールが合わずに断ることはあっても値段が理由で仕事を断ったことはない。だから「いくらであっても今回は受けます。今は払えるだけ払ってもらい、日本の配給がつくか映画祭で賞を取ったらいくらかプラスしてもらうのはいかがですか」という出世払い方式を提案した。

かくして、格安で引き受けた仕事ではあったが普段の仕事と同じ労力を割き、同じだけの誠意を込めて仕事をしたつもりだ。(だって、過去の仕事が名刺代わりの世界だもの)途中で、ある映画祭に出品するために締め切りが早まったが、それにもちゃんと余裕をもって間に合わせた。

しかし、彼は「あなたはニュアンスが分かってない。これじゃほとんど使えないから、この話はなかったことにして欲しい」と言ってきた。私は内心「なまじ言葉が分かるけど、字幕をつけたことがない人に限って、言ってることと字幕が違うとか言いがちだよな」とか、「初監督作で思い入れが強いんだろうな」とか、「とはいえさすがにほとんど使えないってことはないだろ」とは思ったが、小額のことで揉めるのは時間と労力と気力を無駄に失うだけなので、最初にギャラを放棄した。仕上げてみて、ギャラの上乗せ分はなさそうだと判断したことも大きい。(あ、言っちゃった)ただ、ギャラは要らないけど、どこがダメだったのかを後学のために完成版がほしいと言うと、そのときは快諾されたが、出品用に仕上げるのが先なので時間をくれとのことだった。

それから私も忙しかったりして気づくと出品の締め切りから1ヶ月以上過ぎていた。だが、向こうからは何の連絡はない。そこで、完成版を送ってくれるように催促をしてみた。まあ実を言うと、完成版をよこせいう要求は、私の字幕を1枚たりとも使わないでよと言う牽制でもあったのだけど。そしたら驚くことにまだ完成しておらず、相手はやたらキレている。しかも、お前の勉強のためになぜ渡さなきゃいけないのか、と約束を反故にする気満々である。そして更なる罵倒。他の人にも見せたが、使えないと言ってる、とか。(あ、やっぱりまだデータ持ってるんだ、破棄してくれよ)

推測するに、自分でやろうとしたら、思いのほかできなかったんでしょうね。そのせいで出品もできなかったのかもしらない。だからイラだってるのでしょう。というふうに感じたので、私自身はそれほどダメージを受けなかったのだけど、むしろ相手が窮鼠ってるねぐらいに思ってたけど、でも、後で翻訳のデータは当然のことスポッティングのデータも使わないでと釘を刺しておかなきゃ… と頭の片すみで考えていた頃の来日だったのである。

で、件の映画の冒頭に出てくる子守唄を歌い、人類になってみたら、何かもうどうでもよくなった。使いたければ私の字幕を使えばいい。そんなことして一番傷つき、屈辱的な思いをするのは、ほかでもないプライドの高い彼なのだから。舞台に上がったときは、ただ心理魔術を成立させなければという一心で、自分に何か変化があるなどと考えもしなかったけど、媒介になった私にも魔法がかかった。これが一番の驚きだった。

それにしても性格が二枚目なタイプはつくづく面倒くさい。やっぱり私は頭がよくてアホな人が好きだなと思った。

さて、さんざん上でしょうもない質問をした若者をディスった私ではあるが、よくよく考えてみると愚かで自分のことしか考えないのは若者の特権でもある。かつて若者であった自分にも思い当たる節がありすぎる。いちいち思い出したら枕が何個あっても足りなくなりそうなので、思い出さないことにするけども。

あと、最初に「リアリティのダンス」を見たときに、これ伝わるのだろうかと思ったのも事実。私自身はこの心理魔術を使った魂の遍歴の映画をよくぞ作ってくださいましたと感激したのだけど、ホドロフスキーのことを伝説のカルト映画の監督という認識だけの人が見たときにどう感じるのかが疑問だった。むしろ、これまでの作品を知らない人のほうに受け入れられるんじゃないかと。

過去に日本で公開された3本の作品からアナーキーでぶっとんだおじさんと思われがちなのだけど(実際、私も若い頃はそう思ってたけど)大人になって彼の書いたものを読み、映画を見直すと、実は最初から言ってることはほぼ同じで、しかも周りからは違って受け止められていたことが分かります。そして、今ちょうど公開中の「ホドロフスキーのDUNE」も合わせて見ると深く心に染み入ってくる。

というわけで「リアリティのダンス」公開直前に久々のホドロフスキー同好会をやります。
これは映画をより深く理解するために知っておいたほうがいい心理魔術の基礎についてお話します。
原作やこれまで彼の本を読んだことがある人は知ってる内容です。
完全予約制なのでFBやってなくて詳細が知りたい方はメールください。

| Comments (0) | TrackBack (0)

2014.06.08

5月

4月、5月を駆け抜けたので6月はのんびりするぜ月間。
アノニマ企画のイベントはございません。
(が、スケジュールは空いてますので、借りたい方はお問い合わせください)
のんびり月間とはいえ、時間ができたら直したい場所や
試したいDIYのアイデアが溜まってきているのでそれを片付けようと思います。

5月3日のオープニングからいろんなことがありました。
ずっとビデオを撮ってたから写真がないのだけど、
完全に生きてるとしか思えないクリーチャーたちが縦横無尽にギャラリー内を駆け巡った
かわせみ座の山本由也さんのマリオネット。
チェロを弾きながら歌う千絵さんの身軽(本来チェロは大きいので軽い感じがしないのに)な、
たたずまいがマシマ氏の作品にすごく合っていました。

今回も絵を見ているうちに踊りたくなったと言ってフラを奉納する人あり
P5041144

絵に語りかけるように歌いだす人ありで面白かった。
P5241174

ちなみにこのときは、ドラマーからギタリストになった人と、
ギタリストからドラマーになった人が同じ時間帯にいて、
しかもその理由がどちらも手の故障がきっかけだったというのだから不思議です。

たまたま自室にこもって仕事してたので会ってないけど、
ちびっ子たちがいっぱい来た日もありましたし、
遠くの町からもたくさんの人が見に来てくれました。
あと、他の誰かの家でマシマ氏の絵を見たのがきっかけで来てくれた人もいました。
本当にありがたいことです。

あと、全然別の日にはヒマラヤ精油のサウザンド・スノーさんのおはなし会がありました。

去年の6月に初めてマシマ氏の展覧会をしたときに、五行のイメージに合わせて、
毎週、オリジナルの香りを調合してくれたのがサウザンド・スノーの楠山さんです。
もうあれから1年経ったのか。
あの時はヒマラヤ精油と言っても余り知られてなかったように思い出されますが、
この1年で口コミもあり、じわじわと知名度が上がってきたようです。

なぜ彼女がこの精油を取り扱うようになったかという話は、前にも聞いたことがあったけど、
改めて聞きながら、これは本当にいい物だよな~、もっと皆に知ってもらいたいと思いました。
(はい、アノニマでも販売しております)

そんなこんなで、5月の展示も終わり撤収作業をしていたところ
「あ、これ忘れてた!」とマシマ氏が叫んでいるではないですか。
なんと、ひとつの絵を展示し忘れていたという…。
「何か足りないと思ってたんだよなぁ」

えーっ? マシマシさんそんなキャラやったっけ?

P6021189

そんなハプニング的な縁もありつつ、うちの子になりました。
実物が見たかった!! という方は、イベントやWSのときに飾りますので、
見に来てくださいね~。

とりあえず、私は7月5日(予定)のホドロフスキー同好会に間に合わせるよう、
なんとかこの1ヶ月で4月に撮ったホド先生の映像を編集したいと思います。
壁も塗り直したいし、薬草酒や果実酒を入れるビンのDIYもしたいし、
裂き織りもやりたいし、自室のデスク前フックも作りたいし、ヒーターのカバーも…
どう考えてものんびりできないようです。

ちなみに今はフラフープでラグを編んでます。
P6051190

| Comments (0) | TrackBack (0)

« May 2014 | Main | July 2014 »