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2012.10.12

二つのメキシコ

メキシコ雑貨カワイイよねぇ。
刺繍を施したブラウスもいいし、ゆるガイコツもいい。
そして季節は秋、芸術の秋、映画の秋。
じゃあ、もうメキシコの映画を見に行くしかないじゃないですか。

そんなあなたにお勧めなのが今週土曜日から始まる
メル・ギブソン主演の「キック・オーバー」です。

Get_the_gringo_2

刺繍のブラウスもカラベラも全然出てこないって?
うるせ~、黙ってろ。ピシュッ(今、消されました)

何でもありのメキシコの刑務所の中で、メルギブさんが久々に大暴れ!
というクライムアクションムービーということになっているのですが、
私個人的には機を見るに敏、口八丁手八丁、ときどき腕力によって
のし上がるさまはピカレスクロマンじゃないかと思ってます。

私のお勧めはメルギブさんが、あるお方のモノマネをするシーン。
え? あの方ってこんな話し方だっけ?ってYouTUBE探して見たちゅうねん。
結果、ぜんっぜん似てなかったっちゅうねん。

あと、みんな大好きダニエル・ヒメネス・カチョも出てるよ。
今回のカチョ様も本当にステキ。
悪役だけども、思わず敵なのに惚れてしまうタイプの悪役ではなく、
ホントに卑劣でいやなヤツなんだけど、カチョ様の魅力が上回ってるのよね。

なのに、なのに、公式ホームページのキャスト欄には名前が出てないの。
「何で、どうして、どういうこと?」と同業者の飲み会で大騒ぎしたら、
その場がしーんってなったよね。
完全に「その方はどなた?」って空気になったよね。
それで逆に私のほうが、え、え、え?みたいになって、
もしや、みんな大好きどころか、その存在すら知られてないの?って。

ほら「イノセントボイス」のいい神父さんとか、
「バッド・エデュケーション」の悪い神父さんとか(神父ばっかだな)
「天国の口、終りの楽園」のナレーションとか(声だけやがな)
あとはあとは… って次々に出演作は思い出せたんだけど、
よく考えたら映画祭だけの上映とか映画祭→DVDという作品ばかりで、
案外、みんなが見てそうな映画がなかった。ガクーッ。

英語がお上手なのでアメリカ映画におけるラティーノとして、
あるいはバジェットの大きいメキシコ映画には、大抵関わってるイメージだったんだけどなぁ…。
こちらは10月13日より新宿バルト9他、全国ロードショーです。
どこかしらお近くの映画館でやると思いますので、ぜひお運びください。


とはいえ、たとえ映画の中であっても人が殺されたり、
血が流れたりするのは一切見たくないと言う方もいらっしゃるでしょう。
(一応、念のためにお伝えしておきますと、映画の中で流れる血、
なんとあれは全部、偽物の血なんですってよ。だから安心してくださいね)

そんなあなたには東京国際映画祭で上映されます
ヒア・アンド・ゼア」をお勧めします。

Padre_pedro_2

まあ、こっちにしても刺繍のブラウスやカラベラは出てこんね。
というか、メキシコの文化がそれ一辺倒と思ってもらっては困りますよ。

こちらは、ドキュメンタリーに近い形で(しかしドキュメンタリーにあらず)
基本、出演者は素人だからスターは出てこないし、大暴れもしません。
でも、人生、命に対する深い慈しみに溢れていて、しみじみいい映画。
地味だけど滋味(うまいこといったつもりです)な作品です。

字幕入れのシミュレーションのときに、担当さんとふたりで
「いい作品ですよね」
「ええ、本当にいい映画です」って言い合いました。

また、この主人公のお父さんが見た目も中身もいい男なんだ。
町へ行けば、メキシコの麻薬戦争の余波を感じることもあるけど、
村では静かで穏やかな暮らしがあり、その中で慎ましい娯楽を見出し、
多くを望みすぎず、地に足をつけて生きていく。

「キックオーバー」で描かれるメキシコとはまったく違いますが
これもまたメキシコの一面なのでありましょう。

監督が費やした5年の歳月のおかげで、寡黙ながらも
ずっしりと持ち重りのする中身の詰まった作品です。
こちらは六本木ヒルズで2日間だけの上映ですのでご注意ください。

10/20(土) 20:35~
10/26(金) 12:15~

という二つのメキシコにはさまれている間に「トラテロルコの夜」を読んでいました。
44年前のオリンピックの直前、ちょうど今頃の時期に起きた事件の記録です。
驚くような冷血さによって、ここで流されたのは本物の血であり、
やはりメキシコの姿というのは二つどころじゃないなあと凡庸すぎることを思いました。

メキシコ、近いうちに行きたいです。

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