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2006.10.08

おかげ様で大盛況でした

ご来場くださいました方々、ありがとうございました。
というのは、少し古い話になりますが、
「第3回スペイン・ラテンアメリカ映画祭」、通称ラテンビートの話。

毎年、「潜在的需要はあるはずやねん。
宣伝をちゃんとやったら、お客さんは絶対入るって」と言い続けてきたので、
3年目にして、やっとそれが証明され嬉しかったです。

ところで、最近わりと多忙で、しかも長期スパンの仕事に常に締め切りを意識させられ、
心が休まる暇がなく、追いつめられた感で日誌を更新することなく9月が過ぎてしまいました。
だから、今更こんなこと書いてもな~、と思わないでもないのですが、
後から何度もそのことについて考えてしまったので、一応書きとめておくことにします。

9月18日 だから通訳は無理やって

今度担当する(今やってます:現在の私の声)作品の監督も来日することが分かったので、
挨拶だけしておこうと「ドラマメックス」の監督と「マデイヌサ」のプロデューサー、そして
「ボディガード」の監督のトークショーを観に行ったら、なぜか通訳をやるハメに。

もちろん、両方やる人はいるけれど、外国語を扱う仕事をしている人は、
通訳者タイプと翻訳者タイプに分けられると思う。

瞬発的語学力の差とでも言うのだろうか。
通訳をやっている人はその瞬間の言葉が勝負だ。
翻訳をやってる人は何度も何度も同じ言葉に逡巡し、
時には納品した後ですら、「あ、あそこのセリフ××にすればよかった」などと思う。
そして私は絶対的に後者なのである。

だからここ何年かは、通訳の仕事を頼まれても友達を紹介するなどして、
自分では決して引き受けることはなかった。

でも私が断ったら他にあてがないのは明らかだし、
ディレクターAが「テキーラ飲みながら友達同士の会話って感じで…」
というので考え直してみると、ここは日本とはいえ会場内の雰囲気はラテン風味満載。
日本人は常に仕事に100%の出来を求めるが、ラテン世界では7割できれば上等だ。

というわけで6割ぐらいの出来で終えました(さらに割合減ってるやん)
真剣に聞いてた人スマンのう。許せよ(←元祖ハンカチ王子)

とまあ、自分の残念な通訳っぷりに関する言い訳はこの辺にして、
印象的だったのは「マデイヌサ」についてとても興味深い質問をした人がいたこと。
そこで終わった後にその彼をつかまえて、その真意を聞いてみた。

本人も映画を作っている人らしく、その答えは非常に明白で、
プロットを展開する上での正しい文法(?)とでもいうべきことを理路整然と語ってくれた。
彼の説明はとてもよく理解できたのだけど、その一方で何やら釈然としない気もあった。

というのも、まるで私が見たのとはまったく違う映画について話しているように思えたからだ。
なので、私はその違和感について伝えたかったのだが、その実態が自分でも分からなかった。
(なんせ、さっきも言ったように言葉における瞬発力が圧倒的に欠けている)

とはいえ、酸っぱい液に浸された印画紙の中から少しずつ像が浮き出てくるように、
日が経つにつれ、私の中の漠然としたもやもやが形になり始めた。

おそらく、この監督はこの映画の中で何かの問題提起をしようとか、
少女の抵抗の、もしくは成長の、あるいは策略の物語を語ろうという気などないのではないか。
都市の生活や情報から遮断された山の中で、あれに似たような暮らしをしている人がいる。
ただ、そこにあることを、あるがままに描いたのではないか。

つまり、「てら・いんこぐにた」はいんこぐにたのままにしておけと。

と思っていたのは1週間前までの私。
実はこの監督、家に運転手だけでも3人いる大金持ちだという話を聞いてしまい、
私の中での評価がぐらついている。

もちろん映画やその他の芸術活動は作品そのもので評価されなくてはいけないはずだし、
私の作品に対する理解というか、解釈自体は変わらない。

でも、ラテンアメリカでお金持ちと言ったら、ものすごいお金持ちな訳ですよ。
日本でお金持ちというのとはわけが違うし、その富の出所を考えると、
安い賃金で酷使される先住民(つまりマデイヌサの村のような人たち)から搾取されたものなわけで、
何だかやるせない気持ちになってしまった。

監督本人を知らないので彼女のスタンスはよく分からない。
世の中には知らなくていい情報もあるってことですね。

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